【はくはつ1号のサフラン酒本舗考察】共通の装飾パターン、宝珠と双龍(昇り龍、降り龍)
蔵の鏝絵は、美しい装飾としてだけでなく、そこに込められた想いや願いを読み解くことで、新たな物語が見えてきます。
今回は、明治24年の商品ラベル、明治44年の大看板、そして大正15年に完成した鏝絵蔵の装飾を見比べることで浮かび上がる、共通の意匠「宝珠と双龍」に注目します。時代を超えて繰り返し用いられたこの図象には、創業者・仁太郎が託した強い信念と祈りが込められているのかもしれません。
先に『繁栄・長寿、永遠の命への強烈な願い』というタイトルで、衣装蔵・鏝絵蔵の装飾の、ひとつの見方をご紹介しました。
今回は、その発展で、実は蔵に先立つ明治24年、商標登録時に作成した商品ラベル、明治44年の大看板、そして大正15年の鏝絵の仕上げの作品、鏝絵蔵東面の鉢巻部の各々に、その共通の装飾パターン「宝珠と双龍(昇り龍、降り龍)」という話です。
(1)商品ラベル: 中央上部に宝珠。双龍の右の龍は口が少し開いた阿形で、物事のはじめの昇り龍、左の龍は口が閉じた吽形で、物事の終わりを示す降り龍。
(2)大看板の中段: 双龍のうち、右側の龍の手に宝珠、つまり、こちらが衆生を救済するため地上に下る降り龍。

(3)鏝絵蔵東面の鉢巻部: 屋号の吉を囲む宝珠に双龍。最初の商品ラベルと同様に、右の龍が阿形の昇り龍、左の龍が吽形の降り龍。(地上から見上げるだけでは判然としないが。拡大画像では明白です)



まさに薬師如来のアトリビュートそのもの。
これらの図象パターンの驚くべき一致に、仁太郎の強い意思を感じます。
衣装蔵、鏝絵蔵の鏝絵装飾の「まぐさ部」を含めた装飾パターンの共通性は、細かな話ですので、別の機会にします。

