みんなの発酵マガジン

【はくはつ1号のサフラン酒本舗考察】庭園と離れ座敷に見られる、茶会の結界

前回の記事「旧機那サフラン酒製造本舗の庭園は『結界』の集まり」の続編として、今回は“茶の空間に見立てた結界”という視点をさらに掘り下げます。この見方を教えてくださったのは、普段サフラン酒本舗でボランティアガイドをされている市民の方。庭園から離れ座敷、そして二階へと進む中に重ねられた見えない結界と、心を整え清めるためのしつらえに目を向けると、仁太郎さんの美意識と思想が、より立体的に浮かび上がってきます。

こんにちは、今日は、前回投稿の「庭園と離れ座敷は結界の集まり」のなかの、茶の空間に見立てた結界という話の補足です。

茶室と見なせる折上げ格天井の応接間

離れ座敷二階の「折上げ格天井」をもつ格式あるお座敷。
庭園、離れ座敷の一階を見物後、階段を上ってきたお客様が、ご当主と挨拶を交わす応接間と位置づけられるのですが、茶会のお茶室としても使用する、という見立ても可能です。

小さな床の間の上の瀟洒な網代天井

小さな床の間の上の「網代天井」、そして「知足以自誡(たるをしり、もってみずからいましむ)」の書も、茶席の必須アイテムと云えます。

知足以自誡の書

「吾唯足知(われただたるをしる)」という禅語は有名ですが、これと同じ、今持っているものに感謝し、それを活かして前向きに生きることが肝要という心得と思います。

茶室の床の間に掛ける、相応しい書ではないでしょうか。

離れの玄関先の蹲、露地のような庭の石組みは、神聖な空間の茶室へと向かう心の準備の仕掛けとも見えます。

玄関先の蹲
露地の石組

前回の「外界を遮る築山の結界、水と木でつくる庭のなかの境界」を魔除けの外側の結界とし、「茶の空間に見立てた結界」を、心を清める内側の結界と見なせるのです。

仁太郎さんが練りに練って工夫を重ねたのに、現在は二階をご覧いただけず、残念です。

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