みんなの発酵マガジン

摂田屋・星長エリアを歩く──星野本店と長谷川酒造で過ごす、少し大人の時間

長谷川酒造の主屋から庭を眺める風景。鉄瓶の向こうに摂田屋の静かな時間が流れる

古くから清冽な水に恵まれ、発酵文化で栄えてきた新潟県長岡市・摂田屋。その一角に、味噌・醤油の老舗「星野本店」と、日本酒蔵「長谷川酒造」から名付けられた「星長(ほしちょう)エリア」があります。
この日は、発酵をテーマにしたイベント「HAKKO trip」が開催されていました。蔵ではジャズライブが行われ、通りには笑い声や音楽が広がります。
それでも、歴史ある二つの老舗には、ゆっくりと重なる時間が流れていました。

目次

長谷川酒造

一口を、一夜を、毎日を ——
人の心に寄り添う酒造りに根差した『長谷川酒造』は、摂田屋地域でも歴史ある日本酒の蔵元。創業は天保13年(1842年)と今からおよそ183年前に遡ります。
祖先は信州(長野県)からこの地へ移り住み、酒造りと向き合ってきました。屋号が『信州屋』という所以もその背景から来ており、江戸・天保の頃は各地で飢餓の時代、厳しい倹約令が下る中でも、『お神酒づくり』が許されたこの地で技術を重ねてきたのだといいます。

長谷川酒造の主屋外観(国の登録有形文化財)
明治19年築、国の登録有形文化財「長谷川酒造主屋」

工場を除く主屋は、国の登録有形文化財にも指定されており、昔ながらの木のぬくもりや重厚感が、長い歴史の重みを感じさせる佇まい。
普段は見ることも稀少な酒蔵の雰囲気に贅沢さを味わいながら、工場内の一部も見学させていただくことができました。

モニターに映る酒造りの職人の作業風景
モニターに映る酒造りの職人の作業風景
長谷川酒造の店内に集まる来館者の様子
にぎわいを見せる店内(HAKKO trip開催日)

杜氏さんが酒米を洗う工程はストップウォッチで正確に時間を計測する匠の技で、手仕事にはじまり手仕事に終わる酒造り。機械化の中でも大切な部分、そのほとんどはオートメーションに頼らない伝統技術が深い味わいを醸し出しているのだと実感しました。

杜氏が酒米の工程作業を行う様子
杜氏による洗米作業
酒粕を容器に詰める企画の様子
イベント限定の『酒粕詰め放題』(HAKKO trip企画)

長谷川酒造の看板銘柄にもなっている一心は、先々代の名前をそのままに、越後雪紅梅をはじめ大吟醸から普通酒まで幅広いラインナップで、和食や洋食・中華など様々なお料理に合う一杯。きっと皆さんを満足させる、そんなお気に入りと出会うことができるでしょう。

壁に掲げられた銘柄「一心」の書
先々代の志を引き継ぐ『一心』
店内で商品説明を受ける来館者の様子
店内で交わされる一杯のはなし

※土日祝は店舗はお休みです。

星野本店

創業弘化3年。新潟県長岡市摂田屋、『星長エリア』に暖簾(のれん)を構える味噌と醤油の老舗『星野本店』。
摂田屋は江戸時代、幕府の天領であったことから、戊辰戦争による被害を免れた地域であり、古き良き景観を今に残しているのも、このような理由が関係しているとご店主。

摂田屋の街並みに建つ星野本店の外観
老舗の風格を伝える星野本店の佇まい
星野本店の店内で店主と話す筆者の様子
店主・中澤さんと語らうひととき

創業から179年を迎える星野本店。平成8年に中澤信吉氏(前取締役工場長)が内閣総理大臣より黄綬褒章を受賞。全国鑑評会受賞味噌をはじめ『味噌 味比べ』や『糀一夜漬けの友』・『ほしのこうじさま』など全国各地の料理人たちも愛用している品揃えは必見です。

最近では日本テレビ系列『満天 星空レストラン』で星野本店の『かぐら南蛮味噌』がピックアップされ、放送後には製造が追いつかないほどだったそうです。
自宅でも簡単にプロの味が楽しめる、そんなラインナップが気になる方は、オンラインショップでも好評販売中ですのでチェックしてみてください。

星野本店の「糀一夜漬けの友」の商品
定番商品『糀一夜漬けの友』
星野本店の麹商品「ほしのこうじさま」
やさしい甘みの麹『ほしのこうじさま』

敷地内に構える国の登録有形文化財『三階蔵』は明治15年、2階建ての衣装蔵として築造され、3階部分は大正時代に入ってから増築された土蔵。様々な蔵を有する摂田屋地域の中でも工法・形式ともに貴重な造りなのだそうです。

登録有形文化財「三階蔵」内部で行われた演奏の様子
登録有形文化財「三階蔵」で行われたジャズセッション
演奏後の三階蔵内部,ウッドベースが置かれた空間
演奏後も余韻を残す三階蔵の空間

HAKKO trip当日はイベントに合わせてジャズコンサートが開催されており、普段でも希望があれば見学は可能とのことで、内覧してみたい方は店頭にてお問い合わせください。

※土日祝は店舗はお休みです。

まち歩きの拠点・米蔵

摂田屋6番街発酵ミュージアム・米蔵の外観

摂田屋6番街発酵ミュージアム・米蔵

  • 駐車場すぐ横
  • トイレあり
  • カフェあり

  • 9:00〜17:00(火曜休)


〒940-1105 新潟県長岡市摂田屋4丁目6-33(Googleマップを開く)

旧機那サフラン酒製造本舗の敷地内です

今回ご紹介したスポットは、徒歩でゆっくり巡れる距離にあります。
米蔵から星長エリアまでは徒歩10〜12分ほど。
旧三国街道をたどりながら、発酵のまち・摂田屋の空気を感じて歩いてみてください。

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