蘇った鏝絵は、まさに美は細部に宿る、の世界
こんにちは。
今夏の殆どの期間、鳳凰の東面が工事用ネットで隠れたままで、鉢巻部の龍の深堀り造形など、定番のガイドができませんでした。
今回は、その替わりの話題のひとつ、現状保存活動に関わる話です。
2023年、2024年の秋に各々3週間、延べ6人の日伊フレスコ画修復専門家の方が鏝絵の保存修復に活動され、100年間の汚れが除去されて見事に「蘇り」ました。
私的にはワンランクアップで、単なる「色漆喰の造形」以上に、向かって左の鳳凰の頭部を飾る緑色顔料はじめ、多くの見どころが明らかになりました。
この緑色は、鳳凰のシンボルカラーのウルトラマリンの漆喰が完全に乾燥してから、孔雀石の顔料マッカライトを展色剤に混ぜて上塗りしたものだそうです。
この技法は、フレスコ画の本場のイタリアでも比較的新しく、それが東洋の日本で見られるのは不思議です、という画修復専門家チームの意見でした。
漆喰アート、世界共通なのですね。
この例の他、近接撮影した画像で初めて気づく、鏝絵の「新たな見どころ」が現状保存活動で明らかになりました。
まさに、美は細部に宿る、なのです。切り口が増え、今までのガイドに、どう追加するか、すごく楽しみです。